シェットランドレース

本に載っていた、シェットランドの1プライレース糸で編んだショールは、ひと刷けのすじ雲のように軽やかで豪華でした。
こんなに細い毛糸で、こんなにも軽やかな編みものができるのに驚き、毛糸を触りたい一心で、毛糸を注文しました。
ジェミーソン&スミスの1プライレース糸は、いかにも「羊からもらった毛糸をつむいだ」という感じで、消え入りそうに細くなりながらもずっとつながっています。
ショールよりもポンチョにしてみたいと思って、模様や編み目の数を計算しました。
10cmくらい編んだところで、「これが大きなポンチョに出来上がったら、ボタンやバックルやファスナーに引っかかって、街中を着て歩くのは無理」とおもい、断念しました。
細い毛糸は、掛けたつもりなのに、するっと落ちていたり、思いもかけないところの糸が針先に引っ掛かったりします。目数が合わなくて間違い探しをしても、どこで間違えたのか、なかなか見極められません。
先に2プライレース糸で編んだ、ショール風ベストと同じ模様で編んだのですが、針先に神経を集中させて編んでいると、すぐに疲れて模様が混乱してしまいました。
少しずつ編んでは休んで、なんとかスヌードにしました。

シェットランドウールのレース糸

フェアアイル・ニットを編んでいて出会った、シェットランドの毛糸の素朴な風合いの虜になりました。
『毛糸だま』の春号を見て、シェットランドウールのレース糸もあることを知り、とにかく手に入れてみました。
注文した色が品切れで、少し濃いめの色ならあるとのことでした。ウェブ画面での色の確認は、ちょっと心もとなかったのですが、手にした毛糸の手触りに、思わず笑みがほころびました。

細くても、手と針によく馴染んで、透かし模様を棒針で編むのが苦になりませんでした。

テレビの旅番組で見たシェットランド島は、樹木がなく、自然の厳しさが偲ばれました。
ひと針ひと針編み込む込むこまやかな伝統の模様の暖かいセーターを育んできた人たちの知恵の深さが思われます。レース糸で編むショールも、ショットランド島の生活に密着しているのかもしれません。
シェットランドの羊からもらった毛糸は、細い繊維の一本までいとおしく思えます。

今回は、ショールに手を通すための穴を開けた形にして、アームホールにも縁編みをしてみました。
シェットランドのレース編みは、ガーター編みを基本にした透かし模様で、一つ一つ部分を編んで綴じ合わせるのではなく、順番に編み続けていくのが特長のようでしたので、裾の縁編みから衿の縁編みまで、一続きに編みつないでみました。

紫色のフェアアイルニット・セーター

紫色のグラデーションがきれいなセーターです。
本の写真には、「牧草地に咲いていたアザミの花、群生する野の花々の色を集めて。ダイヤの中の模様を変えて色に厚みを出しました。」と説明されています。風工房さんの配色にはいつものことながら、うっとりします。
袖付けと袖に少しゆとりを持たせて、裄を短くするために肩幅を少し狭くするなど、模様を崩さずにサイズを調節する工夫をしました。
毛糸が細くなると、模様も繊細になります。編み込み模様は毛糸が裏に渡るため、細い毛糸で編んでもしっかり温かいセーターになります。

3枚目のフェアアイルニットのジャケット

お年を召した方が着てくださるので、衿を小さめにして、袖も短くして欲しいとのことでした。
最近のファッションは袖が細いように感じます。手持ちセーターで、古くても着心地がよくて手放せない物は、袖付けにゆとりがあるので、20年前の編み物の本を開いて袖ぐりを比べてみました。、昔は今より2割以上袖ぐりが大きかったことが分かりました。
このジャケットも、思い切って袖ぐりを大きくしてみました。

まだまだフェアアイルニット

18色の毛糸で編みこむと、ほんの少ししか使わない色も多いので、余り毛糸がたくさんできます。
手元の毛糸を使いたくても、ジェミーソン&スミスの毛糸は手近な毛糸屋にはないので、新しい色の組み合わせを作ってみたくても毛糸選びが難しくなります。毛糸を余分に買って、同じ模様で2着ベストを編みました。
きれいな色がたくさん使われているこのベスト、着てみると使い勝手がよくて「この歳には地味すぎる色」と思っていたセーターも出番が増えました。
「バッハの音楽は、数学的」という言葉を聞いて、「フェアアイルニットは編み物のバッハ」と言えそうに思いました。

フェアアイルニットのジャケット風カーディガン

ベストを編んだときにも配色の妙に感心した風工房さんのデザインです。
ベストは細めの毛糸マイルドラナで編みましたが、これは並太のパーセントでなるべく似た色を選んで編みました。
模様の中で一番多く使われている色は濃い茶色で、ベストの縁取りに使われていましたが、縁編みはグレーとブルーグレーの編み込み二目ゴム編みにしてみました。
ボタンは、縁編みの色に合わせてグレーの貝ボタンにしてみようかと思ったのですが、模様に多く使われている濃い茶色を生かしたウッドボタンが雰囲気を和ませてくれるようです。
手編みニットは、洋服のように仮縫いをして形を補正できないので、完成形を参考に目数を計算して編むことになります。
これも、『風工房のフェアアイルニット』に掲載されていたカーディガンの形にして、袖ぐりだけすこし大きくしてみました。

もう一枚、フェアアイルニットのベスト

昨シーズン、ジェミーソン&スミスの毛糸で編んだフェアアイルニットのベストが気に入ったので、もう一枚ジェミーソン&スミスの毛糸でベストを編みました。
羊の種類で繊維の形状も違うのでしょうか、素人の感触ですがジェミーソン&スミスの毛糸は、堅めの縮毛がざっくり撚られているような空気を含んだ軽さを感じます。
『毛糸だま』2010冬号に掲載されている風工房さんのデザインです。
濃いワインレッドのラインが目立つ全体としては薄茶色のベストという印象を持ちました。
実際には、18色の毛糸で編みこんであります。
色を多く使う場合には、2系統の濃淡のバリエーションにアクセントになる色が入っていることが多いのに、このデザインはピンク、緑、青、黄色、紫と鮮やかでカラフルな模様が重なっていて、とても楽しく編めました。
各模様の単位が、6目だったり、8目だったり、10目だったり、14目だったりして全体の重なりがずれていくので、ちょっと緊張して編みました。

フェアアイルニットを編む

初めて、毛糸を編んだのは10歳の頃だったと思います。
編み物の中でも、毛糸の棒針編みが好きですが、ここ数年フェアアイルニットにはまっています。
なぜ、こんなにフェアアイルニットなのか。
まず、毛糸の色をえらび並べることが楽しい。
そして、幾何学模様の組み合わせを編みこむ、シンプルな対象図形の繰り返しの規則的なリズムが楽しい。・・・ひと目でも間違えると模様が崩れるので、きれいな模様が続いている限りミスなく編めていると安心できるのです。ふふふ、たしかな正解なんて世間では通用しにくいのは分かっているから、編み物の世界にはまるのかなぁ。

『風工房のフェアアイルニット』には細い毛糸(マイルドラナ)でベストが作られているパターンを太い毛糸(パーセント)でジャケットに編むことにしました。
ゲージも形も本とはまるで違うので、編み図から作ります。昔なら方眼紙にパターンを移し書いていたのでしょうが、カラーコピーを活用しました。カラフルに色分けしてあるのは分かりやすい反面、昼の日差しの中でなくては色を見分けられないことがあるので、毛糸の色番を付記しておきます。

フェアアイルニットのふたつのウォーマー

フェアアイルニットでレッグウォーマーとアームウォーマーを編みました。
編みぐるみ人形のミスター・アールにモデルになってもらいました。
『風工房のフェアアイルニット』から友だちが選んだデザインが、私も身につけてみたいと思う作品なのが嬉しいです。
きっと、素敵に着こなしてくれると思います。

フェアアイルニットのジャケット風カーディガン

『風工房のフェアアイルニット』では、前立てを編み出してボタン止めになっていますが、ファスナー止めにしてほしいという希望でした。
ファスナー止めに合わせて左右の前身ごろはつき合わせにして、さらに模様編みで色を変えるときの毛糸の端が出てこないように工夫しました。
既成のオープンファスナーは60cmですので前立てよりも長くなりますが、そのまま衿に付けることにしました。でも、身頃の裏にとじ付けたファスナーは、折り返した衿の表に貼りつくことになります。衿に裏をつければファスナーはきれいに隠せても、全体のイメージが変わります。
衿の表にファスナーが貼りつくデザインとして、ファスナーを刺繍糸でとじ付けてみました。