雨にぬれているアジサイは、いかにも梅雨の花という感じですが、切って室内に置くとあでやかに見えます。
知らぬ間に、たてまえや思い込みにしばられていることに、ふと気づきます。
ファーブルさんは、ハチに指先を40箇所も指されながら、40匹のハチの背中に白い目印をつけていました。
「ハチが遠くに飛んでいっても必ず自分の巣を見分けて帰ってくる」ことを不思議に思って、何をどう識別するのか確かめるための実験の一つでした。
「記憶」とか「知能」とか、人間の勝手な理屈を無造作にあてはめるのではなく、ただ観察して、ありのままの姿を見るための努力です。
白くしるしを付けられるというハチにとっての迷惑も、指先を刺されるという痛みも、「ありのままを見る」ために避けられないこととして享受されていました。
既成の観念に縛られず「見る」、ファーブルさんの素晴らしさの一つと感じます。