今日は、母の90歳の誕生日です。
毎年、誕生日には母に会いに来ていた兄も、この時期、インフルエンザやノロウィルスの感染予防のため面会謝絶になったことが続いて、期日をずらして会いに来るようになりました。
でも、やっぱり誕生日なのです。
母にとってうれしいこと、息子に会うことを措いたら、何なのでしょう。
認知症と診断されたのは、もう何年も前なのに、「最近なんかボケてきた。」「なんだか歳とってきた」と気にかけたりする母です。気に入った写真はポケットに入れてクシャクシャになっているかとおもうと、家族と写した写真も、自分の顔だけ千切りとっています。
施設に入所した母は、家にいた頃よりずっと落ち着いて、体調も安定しています。「年老いた親を施設に入れる」ことを後ろめたく感じ、それが最良のことだったと思うとは、正々堂々とは言えない風潮を感じてしまいます。
でも、「母は私の傍でボケたくなかったのだ」と思うのです。それは、私への思いやりでもあり、母の誇りでもあるにちがいないと思うのです。
公園の陽だまりで、温かいお茶を飲みながら、幼い頃聞いた昔話を繰り返すと涙を流して笑う母。今日は雨なので、散歩はできないけれど、お気に入りのレディグレイを一緒に飲んできます。