いつもはひっそり暮らしておりますのに、この秋は懐かしい人の訪問が続きました。
おおらかな北の大地で「明るい家族」を地で行くように暮らしていた頃、夫の職場で知り合い一緒に仕事をして、好きな本を交換しあって読んだり手編みセーターの話に盛り上がったりした友人です。
ずっと、「会いにいく」「会いに来て」と、いい続けていました。やっと果たした再会です。用意しておこうと思っていたのに間に合わず、おしゃべりしながら仕上げた帽子とリストウォーマーです。
健康診断で癌が見つかり、定年まで勤めるつもりだった仕事を辞めて、治療に専念している合間を縫ってきてくれました。
10時間に及ぶす手術を受けたというのに「私にとって、手術はたいしたことではなかったの。入院中は優等生患者で、2週間で退院したんだよ。」と明るく話してくれました。毎週点滴に通う治療は厳しいと思いますのに、通院中に知り合った先輩患者さんの話をしてくれます。
避けることができないことをあるがままに受け止めて、自分を憐れまずに前向きに笑顔を見せてくれました。気負わずに「今まで、何の苦労もなかったから。」と言う彼女には、誠実に積み上げてきた日々の中で築きあげた家族と友人のゆるぎない絆があるように思えました。