散歩中、庭の片隅を占めているカワラナデシコを見かけます。きっと、根付いて広がり、毎年花を楽しませてくれるのでしょう。
今まで雑草に覆われていた、エビネの傍を整理して、カワラナデシコの苗を植えました。
蕾もどんどん開いているのですが、ときどき茎が根元から倒れています。どうやらネキリムシ(夜盗虫)の仕業のようです。
花屋さんは、「ヨトウムシは土の表面近くにいるから、手で探って摘みだせばいい。」と言います。ネキリムシは、黒いイモムシ、「夜盗」と言われるくらい気色悪い嫌われ者でしょ。手で探るなんて!何匹潜んでいるか分からないのですから、ていねいに探って、しかも、見つけたヨトウムシは始末しなくてはならないわけです。
スコップの先で、チョコチョコと根元をさわってみたのですが、本気じゃない。
せっかく花が咲いているのに倒されているのを見ると、やっぱり薬で退治したくなってしまいます。
ファーブル昆虫記
虫嫌いなのに、『ファーブル昆虫記』にはまるなんて、我ながら驚いています。
いわゆる学習図書の少年少女文庫と趣を異にした、子ども向けの『ファーブル昆虫記』をツネくんに贈ったあと、同じ本を読んで共通の話題ができるといいな、とも思いました。
友だちから勧められてもいたのですが、全10巻・各上下、全部で20冊の本を本気で買うのか、本屋さんで手に取って迷ったすえ、一巻ずつ買い足すことにしました。
一番初めのフンコロガシの話は有名ですが、一つ一つの疑問をじっくりと納得行くまで、繰り返し試して観察する、ファーブルさんの謎解きの過程に引き込まれました。
ファーブルさんにとっては、重要な観察地点でも、普通の人にとっては「何にもないところ」で一日中じっとしているのですから、どう見ても変人で、なんども不審尋問されたでしょうが、それにもめげずやり通してこその偉人、と感心します。
それでもちゃんと家族がいて、息子から信頼されている父親でもあるらしい、やはり最後まで読み通すしかない本です。
パセリ
こんなに美味しそうなパセリなのですが、食べずに育ちすぎた葉を切り捨てています。
カサブランカを育てている鉢に芽を出したパセリです。
カサブランカにアブラムシが付かないように、2週間ごとにオルトランを使うようにという花屋さんのアドバイスに従っているので、青虫君も遠慮しているパセリです。
食べられないパセリのことを話したら、ツネくんは「テントウムシを探してくるといいのに。」と言いました。幼虫の方がアブラムシをたくさん食べるし、飛んで逃げる心配もない、とのお勧めです。
でも、テントウムシの幼虫を見つけるなんて、とても難しくてできないし、そもそも虫は苦手なのです。
『沈黙の春』は心に響く本ですが、花を育てるには、ナメクジもネキリムシもアブラムシも遠慮して欲しくて、薬を使ってしまいます。
木いちご
通りがかりに、庭の手入れをしていた方から、木いちごの苗を分けていただいたのは、5~6年前のことです。
「きっと、引き抜いた苗の処分に困って、分けてくださったに違いない」と思うほど、いたるところから芽を出す勢いは他の植物の脅威となり、「たくさん実がなったら、ジャムを作ろう」という夢を捨てて、退陣してもらうことにしました。
でも、残っている根から芽が出て、まだ育ち続けています。
イチゴと同じ白い花が咲いた後、小さい褐色の実がふくらんで、だんだん色が薄くなり、赤みが薄らいでオレンジ色になると甘く食べ頃です。
むかし、幼稚園までの道ばたに木いちごの藪があって、ほろほろとこぼれる柔らかい実をそっとつまんで食べていました。
ランタナ
咲き進むに連れて、花の色が変化するカラフルのもの(カマラ種)もあるようです。
初めて手に入れたランタナは、紫がかったピンクで、木なのに吊鉢に仕立てられた花がきれいでした。枝や葉に触れると、独特の香りがします。
露地に移しても元気に育ち、花もよく咲くので、白い花のものも欲しくなりました。コデマリよりもおとなしい感じですが、長い間花を咲かせ続けてくれます。
そういえば、イベリスもコデマリもランタナも、小さい白い花が集まって手まり状に咲いて、よく似ています。
なんとなく、似たような花を集めてしまうのですね。
ユウゲショウではない?
一週間ほど前、ため池の土手の上で見つけた花です。
図鑑に載っているユウゲショウの写真にそっくりです。茎も葉も花のつき方も、全体の印象もぴったりだと思うのですが、ユウゲショウは「花は夜咲き。」と書かれています。
小雨の降る日でしたが、午前10時頃に撮った写真です。
「小雨の日だったから、しぼんでいなかったのかもしれない」と思い、晴れた日の昼にもう一度見にいってみたのですが、元気に咲いていました。
その後も、畑の畔に咲いているのを見かけます。ナデシコ(マンテマ)の仲間にも雰囲気が似ているのですが、花弁が4枚しかありません。
ユウゲショウは、ヒルザキツキミソウと同じアカバナ科で、図鑑にも隣り合わせに載っています。「花は夜咲き」ということは、昼間はしぼんでいるということですよね。
ユウゲショウにそっくりなのに、昼間咲いているこの花の名は?
夕化粧、艶かしいこの名を使いたくなります。
ヒルザキツキミソウ
朝の散歩で見つけました。
「夜開く花も、早朝にはきれいに咲いている」と思ったのですが、この花は、夜に開花して日中もしぼまないから、「ヒルザキツキミソウ」なのでした。
北アメリカ原産で、温帯域で花卉として栽培されているようです。初め観賞用に導入されて、現在では日本各地で野生化したものが見られるようです。
シロバナマンテマ
大きく手を振って、肩を揉み解しながら公園を歩いていたら、見慣れない、可愛い花を見つけました。
図鑑を探して、「これに間違いない」と、ぴったりの写真を見つけ、「やった!」という気分です。
帰化植物図鑑に紹介されているマンテマの花は、花弁は濃い赤で縁が白く、花の色が白~淡紅色のものをシロバナマンテマと呼ぶと説明され、その写真も載っていました。全体に粗い毛があって、直径1cmほどの5弁の花が一方向にむいて穂のように付いています。ヨーロッパ原産で、江戸時代に観賞用に導入されて、その後野生化して本州中部以南の河川敷や市街地で見られると解説されています。
園芸の花の本にも、マンテマの名がありました。別名シレネ、500種の仲間があるとのことで、ムシトリナデシコや桜草に似たフクロナデシコなどが紹介されています。
私が見つけたのは、野の花のシロバナマンテマです。
ニワゼキショウ
いつも行くスーパーの前で、花の時期も終わったイヌコモチナデシコの傍にニワゼキショウが咲いていました。
野の花は、いきなりパッと咲くように思います。まるで、暦が定まっているように、その花の「とき」があるのでしょう。
日差しが強いので影が入らないようにと、道端にしゃがみ込んで携帯を構えていたら、顔見知りの方が不審そうに通り過ぎます。もう、恥ずかしいことなんてないようなオバサンなのですが、それでも人目は気になって、そそくさと撮った写真はピントもぼやけてしまいました。
ニワゼキショウは、転校生だった私とよく遊んでくれたジュンちゃんちの庭にいっぱい咲いていて、ジュンちゃんは、ダイヤモンド草と呼んでいました。6弁の整った花は、「ダイヤモンド草」の名にふさわしいように思います。
高さは10~20cm、芝草のような細長い形の葉で、花びらにすじが入っています。
漢字で書くと庭石菖なのでしょうが、明治時代に帰化した北アメリカ原産種のようで、花が白いニワゼキショウのほかにも、草丈の大きい種類や藍色の花が咲く仲間があるようです。
ノイバラ
日が高くなるとまぶしすぎるので、朝、散歩しました。
威勢のいいタンポポモドキ(この名の方が、ブタナより似合います)の花は、まだ閉じていて、ノイバラの白い花が目につきます。
ノイバラの鋭いトゲは痛いけれど、花はよい香りですし、赤く熟す実も、クリスマスのリースにも活躍してくれます。
アールと歩いていた時間でした。昼間とは空気が違っていて、「ほんとに、風になっている?」と、ふと思います。
一年前は、弱って朝の散歩もできませんでした。
調子のいいとき、アールから「公園に行こう」と誘ってくれました。
好きなことを知っていて、喜ばせようとしてくれたのだと思います。いい想い出を、たくさんつくってくれました。

