ため池の傍を歩いているとき、道端にひと群れ咲いていました。
「花穂がクスダマに似ているのでこの名がある」という、西アジアから北アフリカにかけての原産種だそうで、ホップツメクサという別名もあるようです。
「ツメクサ」と付くのは、四葉のクローバーでお馴染みのシロツメクサですが、そのほかにも、ベニバナツメクサ、ツメクサダマシなどたくさん仲間があるようです。
よく見るアカツメクサ(ムラサキツメクサ)の別名が、ウマゴヤシかと思っていたのですが、ウマゴヤシの花は黄色でした。ウマゴヤシの仲間もいろいろあり、コウマゴヤシの花はこの写真にそっくりです。ツメクサ、ウマゴヤシ、カタバミの仲間はよく似ていて、図鑑の写真を見比べては、さんざん迷いました。クスダマツメクサという名が、キレイでしっくり合います。
マツバウンラン
細い茎の先についた薄紫の花が可憐です。
マツバウンランは、「北アメリカ原産でアジアや南アメリカの温帯に帰化している越年草」で、日本に入ったのは、昭和の初めの頃のようです。「花冠の長さが12mmほどになるものは、変種としてオオマツバアウンランと呼ばれる」とありますので、これはオオマツバウンランの方といえそうです。
図鑑の隣のページに載っているのがツタバウンランで、これは、家にもたくさん生えています。野草図鑑を見て、「ムラサキサギゴケ」という名だと思った草です。帰化植物図鑑に載っているツタバウンランの説明には、地中海原産と書かれています。
ムラサキサギゴケは、ツタバウンランのもう一つの呼び名なのでしょうか、それともよく似ている日本在来の野草なのでしょうか。
野草の名を知りたいと思うのですが、よく似ているものとの違いを見極めるのは難しいです。
ケキツネノボタン(?)
小雨の中、目につく花をいろいろ見つけたのですが、図鑑と照らし合わせたところ、どれも名まえが定になりません。
「葉の形が、牡丹の葉に似ていることが名前の由来」というキツネノボタンは、「葉は3枚に分かれ、その一枚一枚がさらに切れ込んでいる」と説明され、葉がもっとほっそりしています。ケキツネノボタンは、キツネノボタンによく似ていると紹介されていました。
トゲミノキツネノボタンは、ヨーロッパ原産の帰化植物ですが、写真を見ると葉にもっと丸みがあります。参考として載っていた、類似種、ケキツネノボタンの写真に葉の形も、実の形も一番よく似ています。
花は、キツネノボタンもトゲミノキツネノボタンも、この写真とよく似ていますので、キツネノボタンの仲間なのはたしかそうです。
ロベリア
ロベリアが好きです。
花屋さんに並んでいるのを見つけたので、とりあえず3色植えました。
もう少し買い足したくなって、また花屋さんに行ったのですが、ロベリアの苗は少なくなってしまっていました。
エアコン室外機のうっとうしい配管をかくすための青いロベリアはあったのですが、もう一鉢飾りたいと思った薄紫の苗は品切れでした。とても残念に思っていたら、優しい花屋さんは、展示用に植えていたのを掘り起こして譲ってくださいました。わがまま言ってスミマセン。
今読んでいる探偵小説の中で、ミス・マープルが昔話を聞き出すシーンに、年寄りの庭師の「花壇づくりもいまじゃ流行おくれですがね。・・・・・・すてきなロベリアの縁取りなんかに見向きもしなくなったようでさあ。」という言葉がありました。アガサ・クリスティーもロベリアが好きだったらしいと思いませんか、うれしいです。
ブルーデージー

冬のよせ植えの鉢に彩りの花として添えていたものです。千両の赤い実も落ちてしまったので、トウの立った葉牡丹は抜いて、ブルーデージーは庭のすみに植えておきました。
株も大きく育って、たくさん花をつけています。
「ここが気に入ってくれたのね。」目立たないところで、静かに咲いている花に、あいさつしてきました。
オオジシバリ
日差しが強くなって目立つようになったブタナ(タンポポモドキ)の仲間かと思ったのですが、ひとまわり小さく、花の形も違います。見るからにたくましいブタナよりは可憐に感じます。
似ている花は多いのですが、どうやらオオジシバリのようです。ジシバリは、「細長い茎が地面をはって伸び、その途中から根を出して増える様子が、地面をしばるように見える、というのが名の由来」だそうです。
オオジシバリは、「全体にジシバリよりすこし大きめで、高さ20cmほど。やや湿った場所や田の近くなどで普通に見られます。葉はへらのような細長い形です。」と説明されています。
ジシバリもオオジシバリも帰化植物図鑑には載っていませんでした。昔からの日本の野草なのですね。
目につく花のほとんどが帰化植物なので、この花の名前を知りたくて帰化植物図鑑の写真と見比べました。キク科の帰化植物だけで90ページもありました。キクやタンポポに似た花の名まえを調べるのは、もうやめたくなりました。
アメリカフウロ
まだ刈り込まれていない土手で、ハイアオイの傍に広く生えていました。
急に暑く感じられる日差しの中で、ぽつぽつと目立たない花をつけていました。
オランダフウロのピンクの花は、草の陰でも目を引くのに比べると、同じフウロソウ科の帰化植物でも、こちらは観賞用にはなりそうもありません。
フウロソウ(風露草)とは、「むかしから下痢などの薬として使われ、飲めばすぐ効くということから、『現の証拠』と名づけられた」というゲンノショウコのことのようです。
北アメリカ原産のアメリカフウロ、ヨーロッパ原産のオランダフウロ、、地中海沿岸原産のジャコウオランダフウロ(観賞用に栽培もされている)、薬用に利用されているのは、むかしから日本で使われているゲンノショウコだけなのでしょうか。
アメリカフウロは、「太平洋諸島やアジアに帰化している。・・・昭和になってから日本に帰化し、現在では、東北地方以南に広く発生するようになった。」と解説されています。土手の上のかなり広い範囲に生えていたので、丈夫な草なのでしょう。
ハイアオイ
冬の間は丈は高くはないのですが、青々とした元気な葉が冬枯れの野に目立ちました。
日差しが強くなるとともに、ぐっと伸びてきて、小さい花をつけています。
葵の仲間なのは分かるのですが、花が小さく観賞用にはならない葵だけで、ウサギアオイ、フユアオイ、ハイアオイ、と手もとの本には3種もあります。
フユアオイは、「江戸時代に野菜として導入され、・・・葉にしわのよったものをオカノリと呼んで食用に栽培することがある」と説明されています。この葉は、美味しく食べらるようには見えないので、フユアオイではなさそうです。
葉の形や花のつき方は、ウサギアオイとよく似ていますが、「全体に粗い毛がまばらにある」ので、ハイアオイと判断しました。「花弁はガク片とほぼ同長」という特徴もあてはまります。
ハイアオイは「ヨーロッパ原産で南北アメリカやオーストラリアに帰化している越年生または多年生草本。」と解説されています。「本州中部以南の沿海地に帰化している。」ようです。
ウキツリボク
つる性なので、あんどん仕立ての鉢植えにされています。露地植えにしたらよく育ち、根は一本なのですが、フェンスに絡まったつるは5~6mあり、お隣との間の生垣のようになりました。
手に負えないよど枝が伸びてしまったのを、去年思いきって刈り込んでもらったら、今年はよく花が咲いています。
アブロチンという名の花の種類のようですが、これも憶えにくい名前です。ウキツリボクなら、釣りで使うウキを連想させるので、分かりやすい呼びかたです。
イベリス
今、家で一番目立っている花です。10年以上前から、毎年咲いてくれています。
名前を憶えられなくて、通り過ぎる人に尋ねられても、ゴメンナサイでした。
花の図鑑を探すと、「花がむくむくと盛り上がった砂糖菓子のようなので、英名をキャンディタフト」と説明されていました。意味の分からないカタカナ名まえは苦手ですが、これなら憶えられそうです。

説明はさらに「4花弁のうち、内側の2弁が小さく、外側の2弁が大きくてアンバランスな花形から、和名をマガリバナといいます。」と続いています。これなら分かりやすくて、大丈夫です。
「いつまでも寒い」と思っていたのですが、もう5月、一面にタネツケバナが咲いていた畑には、麦が育ち、青々とした穂がツンと伸びていました。
いつの間に伸びたのか、イネ科の草は腰の丈ほどもあり、穂をたれています。水田にも水が入りはじめました。
この時期の散歩は「要注意」でした。黄色く枯れていれば、もう大丈夫ですが、青々とした草には、除草剤がかかっているかもしれないので、道端の草には近づかないようにしなくてはなりませんでした。
草刈機の音はうるさいけれど、刈り込まれた草の匂いには安心しました。
暖かくなる頃に小さな花を開く、春の野草とも、そろそろお別れです。

